ちょっと前に、TV東京系
TVQ)地元ニュース番組で、
小郡市にある九州歴史資料館
特集されてました(以前は
太宰府市にありました。なお
九州国立博物館でありません)。

【文化財保存の現場・ウラガワ】
として、倉庫の山積みされた
デッカイ袋を示してました。

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トレハ」と書かれた茶袋。

中身は、岡山市に本社がある
あのバイオ企業(株)林原
製のトレハロースです。

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九州歴史資料館の広報誌
九歴だよりNo.47(2018.4)
で紹介されていたのが、


文化財サイエンス・ラボ
【あまく固める木簡】

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九州歴史資料館では「トレハロース」
というお砂糖で、木器の保存処理を
しています。

トレハロースは自然界に存在する糖で
パンやケーキ、お弁当など食品を
中心に様々なものに使われています。

食品やお菓子にも使われているため
それとは意識せず口にしている
ことがあるかもしれません。

木器の保存処理では、まず
トレハロースを溶かした・・・


これは文化財を保護するため
用いられてきた「糖類含浸法」。
2010年頃から使用されて、
最近はトレハロースが主流に。
(トレハロース含浸法)

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本にもなっているようで↑著者の
一般財団法人 大阪市文化財協会
保存科学室 室長の伊藤幸司氏
紹介ページあるコメントには、


◆コメント

20年程前、木製品を保存する
為に糖を浸み込ませて固める
「糖アルコール法」の開発、
実用化に成功しました。

近年では多くの食品に用いら
れている”トレハロース”が
非常に有効であることが判明、
その研究に努めています。




研究業績に記される最初が
 2013年とありますが、
 こちらの実施状況報告書
 2012年4月から研究と。
 (口頭だけなら2008年


その研究成果が出始める1年前、
2011年2月に(株)林原は
会社更生法を申請(倒産)
1994年にトレハロースの
大量生産を開発し、翌年に
商品化して16年後のこと。




その当時、4代目社長だった
林原健氏がつい先日、
お亡くなりになりました。


◆会社を潰すなら自分の手で

22歳で岡山に戻ってきた。
父が亡くなった時期、
林原だけで6百人くらい、
グループ全体だと3千人以上
の従業員がいただろう。

しかし、業界全体が激動
していたし、圧倒的な求心力
を持っていた父が亡くなり、
会社は既に赤字・・・
・・・最初に役員の人を集め、

「この会社は僕にしか潰せない。
 潰すなら僕の手で潰す。
 どんな形になるかわからない
 けど協力して欲しい。
 辞めたい人は辞めて
 もらっても構わない。
 真剣にやる。
 きちんと責任を取る
 ことはできるつもりだ」

と言った。

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*「独創を貫く経営」
  林原健・著(日経新聞社)より。
  2003年6月日経新聞
  「私の履歴書」連載に加筆。
  一番上の本。その次は弟著↑


ある意味では、この思いも
かなわずだったかと・・・




運営されていた林原美術館
でも今、トレハロース含浸法が
用いられているのだろうか。
ご冥福をお祈り申し上げます。